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こんにちは、出版社営業部員のかんらくです。

掘り出し物の傑作映画を発見してしまいました。

あの三谷幸喜氏の映画監督デビュー作「ラヂオの時間」です。

昭和の空気をわざと充満させていて心地よいです。

「ラジオ」でなく、「ラヂオ」なのもそれをねらってのことでしょう。

後味が申し分ないので、見てよかった満足度は★★★★星4つです。

 

あらすじ

YAHOOのサイトから、解説とあらすじを。

「警部補 古畑任三郎」などで知られる人気脚本家、三谷幸喜初監督によるコメディ映画。

スピーディなカメラワークやストーリー展開、ツボを突いた笑いなど、才人・三谷幸喜の冴えた手腕が見どころ。

唐沢寿明、鈴木京香、西村邦彦共演。

生放送のラジオドラマを控え、緊張気味のスタジオ。

初めて書いた脚本が採用された主婦のみやこも、直前のリハーサルを見学していた。

そんな中、突然主演の人気女優が設定を変えたいと文句を言い始める。

困り果てたプロデューサーは、みやこに脚本の書き直しを依頼。

だが他の出演者も口々に不満を漏らしはじめ、メロドラマだった物語は次第にアクションへと変貌してゆく。

 

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これぞ三谷幸喜!

とにかく明るい! 笑える!

が、なんの気づきも学びもありません。

だからいいんです。

みんな大マジメにばかばかしい。

これぞ三谷ワールド!という感じです。

なぜ、ラジオドラマが生放送なのか。

出演者の大物女優の「生放送の方が収録が短いから」というウソみたいな理由です。

こんな作品があったとはまったく知りませんでしたが、たまたまAmazonプライムビデオ見放題のラインナップに入っていたので、知ることができました。

 

出演者が一つになって三谷ワールドをつくっている

出演者がみんな、三谷監督の世界観を理解している気がします。

キャラはそれぞれ立っているのに浮いている人がいません。

それにしても出演者は豪華です。

唐沢寿明、鈴木京香、西村雅彦、戸田恵子、井上順、梶原善、モロ師岡、布施明、藤村俊二、並樹史朗、小野武彦、市川染五郎、渡辺謙、桃井かおり、佐藤B作、宮本信子。

これらの人が、ラジオの収録スタジオという狭い空間に、結集しているのです。

 

カメラを止めるな!のルーツはここ?

ドラマは、生放送進行中にも関わらず、出演者のわがままやスポンサーの大人の事情などで、どんどん変更されていきます。

そのたびに、矛盾が生じそれを解消しようとして、まだ矛盾が生じる。

その連続で、収拾がつかなくなっていきます。

そもそもの発端は主演女優の千本のっこが、パチンコ屋で働く律子という娘役だったのに、やり手の女弁護士がいいと言い出したところからです。

名前もメアリー・ジェーンがいいと。

破綻するのが目に見えている設定変更なのですが、生放送を何とか成立させようと、全員が懸命に右往左往する様子が滑稽なのです。

CM明けまでにストーリーの書き直しを迫られたりと、タイムリミットがある緊迫感がたまりません。

見ているうちに、今、話題沸騰中の「カメラを止めるな!」を思い出しました。

あの作品の発想は、ここにルーツがあったのかもしれません。

 

際立つキャラ。布施明と渡辺謙

個性豊かな俳優陣の中で、私が特に、印象に残ったのは、布施明と渡辺謙の2人です。

布施明は歌手のイメージが強かったですが、この映画では編成部長役で、プロデューサー役の西村雅彦の上司です。

偉いけれど現場の指揮はとらず、トラブルが起きた時に、対応するか、責任を現場に押し付けるかのどちらか、というような役職です。

ドラマ「下町ロケット」でいうと、吉川晃司(財前部長)の上司の水原本部長のような立場ですね。

この編成部長が、八方美人で敵をつくらず、人間関係をのらりくらりとかわす、処世術に長けた人なんです。

ニコニコしているのですが、視線の先がどこを見ているのか分からず、どこか人をくったような、好好爺のような・・・つかみどころがありません。

 

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本当にいい味を出しています。

ただの八方美人と思いきや、最後に部下が不手際を謝罪しても、「問題ないでしょ。僕はね、千本のっこが喜んでくれりゃそれでいいんです」と、彼なりのポリシーがあることが分かり、一気に好感度があがりました。

千本のっこは、ピークを過ぎた往年の大女優です。

本当に布施明がいい味のキャラを演じています。

これだけでも見てほしいくらいです。

 

渡辺謙のゴーシャスな起用

そして、もう一人偉大なる脇役が、若き渡辺謙。

そのラジオドラマを聞いているだけのトラックの運転手という役です。

 

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今となっては、なんと贅沢な使い方か、と驚きます。

登場時間はトータルでも1、2分でしょう。

だけど、この脇役が天然ものの本わさびのように、最後に鑑賞後の感動を2倍に増幅させてくれるんです。

リスナーの反応があってこそのラジオドラマですから。

渡辺謙のたった一言で、このドラマの制作に関わったすべての人たちの苦労が報われる、そんな感じです。

とにかく、笑う映画。

ベネチア映画祭に出品した際には、三谷監督が、「ドイツ人がこんなに笑うのを見たことがない」と驚くほど、爆笑の渦だったそうです。

そして笑いだけでもありません。

最高に支離滅裂なストーリーなのに、クライマックスでドナルド・マクドナルドが宇宙から帰ってくるナレーションのシーンでは、不覚にも感動してウルっときてしまいました(笑)

 

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ぜひ、見て、笑ってもらいたいオススメ映画です。

 

 

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