出版社勤務のかんらく(@kan_raku44)です。
池井戸潤さんの『陸王』のドラマが始まりましたね。視聴率14.7%という好発進です。
集英社さんも、ドラマの放送開始に合わせて、装丁をガラッと変えたようです。
群馬の書店員さんに聞いたところによると、竹内涼真さんのドラマ出演が決まったら、女性読者が急に増えたそうです。
そこで集英社さんも、この機を逃すまいと、がぜん販売促進に拍車がかかり、装丁を一新したとのこと。
まるで別の本のように印象が変わりました。
目次
老舗の足袋会社がランニングシューズの開発に挑戦
老舗の足袋製造会社が、生き残りをかけて、ランニングシューズの開発に挑戦するという物語です。
そのシューズの名前がズバリ「陸王」。
物語の舞台が埼玉なので、地元の書店さんは、さらに熱くなっています。こんな感じです。
主人公が個人経営の会社の社長という設定は、『下町ロケット』『空飛ぶタイヤ』に通じます。
なので、放送が始まってから、実際にこの2作の売り上げも上がっているそうです。
倒産寸前の会社と、落ち目のマラソン・ランナーの再生の物語
倒産寸前の会社「こはぜや」と、類まれな才能を持ちながら怪我に泣き、くすぶっているマラソンランナー・茂木が、再生と復活をかけて、一世一代の勝負に出るのです。
今回も期待を裏切らない王道の面白さでした。
池井戸さんは、どうすれば読者をワクワク、感動させることができるか、知り尽くしているのではないかと思います。
日本人の好みに、見事にマッチ
「陸王」の設定も、マラソン好きと、職人の技に誇りを持つという日本人気質に、見事にマッチしています。
日本人好みということでいえば、池井戸作品は、正しいことをした人が報われ、義に反した者が報いを受ける。因果応報がハッキリしています。
途中は絶体絶命に追いつめられるのですが、土俵際の本当にギリギリで、胸のすくような起死回生の一手が繰り出されるのです。
池井戸さんの小説があれば、通勤時間でさえ、楽しくなる
池袋と上野の懇意にしている書店員さんから、奇しくも同時に池井戸さんを勧められ、一発ではまってしまったのは3年以上前のこと。
池井戸さんの作品があれば、移動時間や待ち時間が苦にならなくなります。
それどころか、「まだ目的地に着かないで!」という気持ちにさえなるのです。
そんな作家さんは決して多くはありません。出版業界の宝だと思っています。
池井戸さんの作品をつぎつぎと読む人は、その起死回生の一手が見たくて、はしごせずにおれなくなるのでしょう。
後味は、爽快!
そして、物語のラストは、風を切って軽やかに目の前を、駆け抜けていくランナーのように爽快です。
本を開いてみると、作りにも特徴があります。
表紙をめくったところにある色紙を見返しというのですが、それが、老舗店ののれんのような色合いと手触りになっているんです。
編集部のこだわりを感じます。
ぜひ手に取って、ご一読を。
それでも私は、この3作品をベスト3に選ぶ
『陸王』は、面白い。圧倒的に面白い。それは間違いありません。
しかし、それでも私は、池井戸作品のベスト3には、この3つを選びます。
『ロスジェネの逆襲』『下町ロケット』『空飛ぶタイヤ』。
それほど、この3作品は、別格なんです。
『ロスジェネ』は池袋の書店員さんに、『空飛ぶタイヤ』は上野の書店員さんに勧められて読みました。
時間を忘れて読みふけること必至の珠玉の3作品です。
詳しくは、こちらの記事をどうぞ。