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こんにちは、出版社営業部員のかんらくです。

1997年、山一證券倒産のニュースが、センセーショナルに列島を駆け抜けました。

なぜ四大証券の一角が倒産しなければならなかったのか。

その原因を、最後まで会社に残って、追求した男たちがいました。

のちにしんがりと呼ばれる7人です。

その7人のドラマを描いたWOWOWドラマに、心を揺さぶられました。

感動をレポートしたいと思います。

原作は清武英利氏のノン・フィクション小説「しんがり 山一證券 最後の12人」です。

(原作では12人とありますが、ドラマでは特に7人にスポットが当てられています)

 

「清武英利」。この名前を聞いて、ピンと来る人もあると思います。

そう、読売ジャイアンツの元球団代表で、2011年に読売グループの総帥であるナベツネを糾弾した人です。

この戦いは清武氏の敗北に終わり、氏は読売グループから去ることになりました。

「しんがり」は、清武騒動後の作品ですが、山一證券の会長、社長の不正を徹底的に追求するドラマです。

そう考えると、この作品は、自身の体験を重ね合わせているのかもしれませんね。

それは、力作になるはずです。

 

「しんがり」あらすじ

まず公式サイトからストーリーのイントロダクションを。

1997年11月、四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業を発表した。

その要因となった約二千六百億円の簿外債務は、いつ、どのように生まれ、どのように隠し続けられたのか。

役員までもが沈没船から逃げ出す中、最後まで会社に踏みとどまり、真相究明と顧客への清算業務を続けた社員たち。

彼らは社内から“場末”と呼ばれ、煙たがられた部署の連中だった。

理不尽な会社の不正への怒りを胸に、すべての社員、顧客、そして家族のため、使命感で自らを奮い立たせる「しんがり」たち。

現代社会で働くすべての人々の心を射抜く、熱き社会派ヒューマンドラマの誕生である。

山一が倒産した当時、大学の後輩が山一證券に就職を決めていました。

4月から山一の証券マンになるところに、自主廃業のニュースが流れたので、特に印象的でした。

証券は絶対に倒産しないという神話が崩れた瞬間です。

事実ベースのドラマは、見ている時に感動し、「これが実際にあったんだ」と気づいて、二度、感動します。

 

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エンドロールまで手を抜かない

WOWOWは民法のような広告収入ではなく、純粋にコンテンツ勝負で売上げを立てているからか、細部まで手抜きがないと感じます。

このドラマは、エンドロールまで丁寧に作り込まれていました。

ドキュメントタッチのモノクロの静止画が、見事にはまっているんです。

必ずエンドロールまで見たほうがいいです。

 

胸を熱くする名言

ドラマの中には、胸が熱くなる名言が、あります。

その一つ。

主人公の梶井(江口洋介)が、本部長として業務監理本部に異動したあと、強烈なリーダーシップを発揮しましたが、強引にも思える手腕に、誤解する部下もありました。

ナンバー2である花瀬(佐藤B作)も、梶井の強引さは、己の出世のためだと思っていました。

それが誤解であったと分かった時、花瀬はこう梶井に伝えます。

梶井本部長が見ているのは、上司の顔色でも、出世の階段でもなく、人だということが分かりました。正直、感服いたしました。

この花瀬のセリフを聞いて、「結局見るべきは、人なんだよな〜」と深く共感しました。

年を経るほど、これに尽きるという思いばかりが、強くなっていきます。

そして花瀬は、支店長時代に、一度も自分の支店を売上げトップにできなかったことを卑下していましたが、梶井はなんと、「それこそ花瀬さんの勲章だ」と言うのです。

後に、花瀬はこう言います。

梶井さんは、わたしに「一度も旗を取らなかったことが、花瀬さんの何よりの勲章だ」。そう言ってくれました。あの時、私は何があっても梶井さんについていく、そう決めたんです。

なぜ、梶井がそう言ったのかは、ぜひドラマを見て確かめてみてください。

 

「しんがり」は最終回がヤバイことになる

最終回は、ぐっとくるシーンがたくさんあります。

ますは、その一つを紹介。

しんがりのメンバーは、社内調査を終え、報告書を作り上げ、公式記者会見の場に向かいます。

その途中、大蔵省証券取引等監視委員会(通称セック)から連絡が入り、報告書の内容にクレームがつきます。

そのまま発表すると、セックが山一の不正を見落とした、と思われかねない記述があったからです。

重箱の隅をつつく、だだっこのようなクレームです。

それに対し、リーダーの梶井は毅然と、

「社内調査で分かったことは、包み隠さず公表する」と毅然と言い放ちます。

部下の中西は、その意志を受け、携帯に向かって、こう言います。

「ご趣旨は承りましたが、あとのまつりですので、失礼します」

 

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ブチッ。(通話を切る)

 

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痛快至極です!

そして、このあと、最後のクライマックス、社内調査報告公式記者会見に臨むのですが、これがやばい。

総武線の中で見ていたのですが、周囲もはばからず、完全に泣いてしまいました。

このドラマはベタです。

典型的なくらいベタです。

だからこそ強いのです。

エンターテイメントは、ベタが最強だと思います。

型と言ってもいい。

無策に奇をてらった作品は失敗します。

大事なことは、堂々と強い型にはめる思い切りです。

以前、「嫌われる勇気」「マンガ 君たちはどう生きるか」を担当した天才編集者に、直接そう教えてもらったことがあります。

まさにそれを実感しました。

 

ドラマ「しんがり」に込められた、たった一つのメッセージ

このドラマには、たった一つの明確なメッセージがあります。

だから、強い感動が起きるのだと思います。

そのメッセージとは、

「たとえ、組織に属する人間であっても、最後の一線は、自分の良心に従って行動しなければいけない。組織の命令でやった、は通用しない。従うかどうかを選ぶ権利は自分にある」

ということです。

というのも、梶井がついに、上層部のトップである有原会長(岸部一徳)の闇に直接切り込む場面があります。

 

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その時、有原はこう言います。この言葉が、ラストシーンの梶井の演説の伏線になるのです。

「ポイント・オブ・ノーリターンという言葉がある。船乗りの言葉だ。これ以上先に行くと二度と帰ってこれなくなるという場所のことだ」

といいます。

そして、自分は、出世も名誉も考えていなかった。

ただ、山一を守りたかっただけだ、と言い切るのです。

そして、山一の幹部や一部の社員たちは、このポイント・オブ・ノーリターンを踏み越えてしまったのです。

そのポイントが何かは、ドラマを見れば、わかります。

そして、名場面の中の名場面、公式記者会見場。

すべての調査結果を公表し終えた梶井に、一人の記者が言います。

 

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「正直、私たち記者連中は、社内調査なんて形だけのものになるだろうと思っていました。ですが、この報告書は、そんな思い込みを粉々にうちくだいた」

そして梶井に、静かな口調で、今の感想を求めるのです。

梶井は、有原会長の言葉を受けるように、こう言います。

 

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「もしわれわれ社員のひとりひとりが、会社や上司の不正に目をつぶることなく、会社のためという言い訳にも逃げず、自らの判断で引き返す勇気が持てたのなら、このような事態は必ずや避けることができたはずです。私は今もそう信じています」

これこそが、この作品のたった一つのメッセージなのでしょう。

このドラマをつくった監督、脚本家は、この言葉を梶井に言わせるために、この作品をつくったのだと思っています。

 

ドラマ「しんがり」を見る方法

一人でも多く、このドラマの存在を知り、感動を味わってもらいたいと思っています。

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ぜひ、この傑作ドラマの感動を味わってもらいたいと思います。

 

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