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かんらくです。

今、子供向けの漢字ドリル、【うんこ漢字ドリル】が、大ブレイクしているのをご存じでしょうか?

子供の心をわしづかみにし、大人もはまる人が続出しています。今回は、この衝撃的なタイトルと、ヒットの法則との重要な関係について考察します。

今、書店営業をしていると、都心の大型書店で、大きなうんこパネル付きで、仕掛け販売をしているのをたびたび目にします。

たとえばこちら。

うんこ、うんこと連呼していると、何ともいえない背徳感におぼれてしまいそうですが、そこは、振り切って書いていきます。

書店の学習参考書、児童書のコーナーのみならず、新刊台にも平積み面陳されています。

うんこドリル  発売後わずか2カ月で180万部

首都圏のJR線に車内広告が出ているので、目にした人も多いかもしれません。

今年3月24日に、小学1~6年生の学年別に全6冊が出版されるや売り切れ店が続出し、発売後わずか2カ月で180万部を超えるという驚異のメガヒットを記録しています。

6学年分の全3018例文に、すべて「うんこ」を使っていることが最大の特徴です。この本を見て最初に思ったのは、「よく企画が通ったな」ということでした。

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出版社は『人生はワンチャンス』の文響社

このタイトルで、学習ドリルをつくれば、保護者や世の識者から苦情が殺到するのでは、という心配が当然起きてきます。

「いったいどこの版元(出版社のこと)が、出したのだろう」と、本を裏返してみると、「文響社」の文字。「え?」という驚きと「文響社さんだったのか」という納得が、複雑に交錯しました。

文響社といえば、新進気鋭の出版社ですが、数年前に、犬の写真と一言、という全く新しい組み合わせで、一世を風靡した『人生はワンチャンス』で有名です。

次々とヒット作を飛ばすも、学参の分野は未経験のはず、という驚きと、「文響社さんなら、こんな企画も実現できるだろうな」という納得です。
このメガヒットを実現した考え方は、ズバリこれだと思います。

「徹底して読者目線に立つ」

子供が意欲的に勉強できることだけを考えて、子供目線に徹し抜く覚悟を決めてこそ世に送り出せた斬新な新刊企画だと思います。

ここに少しでも「苦情が殺到したらどうしよう」「社の品格が損なわれる」といった大人の事情や作り手の視点を滑り込ませると、この企画は頓挫していたでしょう。無難なもの、無難なものへと流れていくからです。

子供が楽しく勉強することだけを考えた

子供が楽しそうにドリルに取り組む姿だけを想像し、消費者目線にフィックスしたからこそ、最後まで走り抜けられたのだと思います。

実際に小学生たちは、うんこの例文を見てゲラゲラ笑いながら、親に言われる前に自主的に漢字学習に取り組む現象が起きているというのですからまさに狙い通りだったのです。

大人もはまる面白さ

しかもこれ、うんこを使ったまったくナンセンスな例文が、シュールに続き、大人が読んでも面白いんです。

例えば、
「予約していたうんこを取りに来ました」
「この予算では、うんこが買えない」
「君が南国のフルーツだと思って持っているものは、ぼくのうんこだ」

など、このばかばかしさがやみつきになります。

どのように企画が実現したのか、もっとくわしく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。

2カ月で180万部! 『うんこ漢字ドリル』がバカ売れしている理由

この読者目線(消費者目線)に立つということが、あらゆるジャンルで、ヒット商品を生み出す黄金の法則であることを改めて教えてくれた成功事例でした。

 

USJを劇的に変えたたった1つの考え方と一致

この「消費者目線に立つ」ということが、どのサービス業においても本当に大切なんです。私が強く影響を受けた『USJを劇的に変えたたった1つの考え方』という本があるのですが、その中で、USJの業績をV字回復させた立役者である著者の森岡毅さんは、こう書いています。

よく聞かれるのです、「森岡さんはUSJの何を変えたのですか?」と。視点によっては変えた項目は数百では済まないくらい列挙できます。(中略)しかし、変えたことそれぞれの根っこには共通点があります。究極的には、変えたのはこの一つだけと答えてもいいでしょう。
それは「消費者視点(Consumer Driven)」という価値観と仕組みにUSJを変えたことです。USJが消費者視点の会社に変わったということが、V字回復の最大の原動力だと思います。
(中略)つまり「消費者の方を向いて消費者のために働け」という意味です。

半沢直樹の仕事の流儀もこれです

「消費者の方を向いて消費者のために働け」。これって、あのメガヒットドラマ「半沢直樹」のメッセージでもあるんですよね。原作者の池井戸潤さんは、まさにこれが言いたくて半沢直樹というキャラクターを登場させたのではないかと思うくらいです。こちらの記事もどうぞ。

【半沢直樹はもっと評価されていい】半沢 仕事の流儀~ロスジェネの逆襲

結論。ベストセラーやメガヒット商品は、作り手の都合でなく、徹底して消費者目線に立って振り切れた時に、誕生する。これがどのジャンルにも共通するシンプルな黄金則だということです。

 

消費者目線に立って、消費者心理を理解するのにおすすめの本を紹介したこちらの記事もどうぞ。
売れる広告が作れる虎の巻! 消費者心理学が1冊で学べるおすすめ本です

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