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こんにちは、出版社営業部員のかんらくです。

USJをV字回復させた立役者である森岡毅氏は、USJを劇的に変えたのは、たった一つの考え方であると語っています。

そのたった一つの考え方とは、「お客様目線」ということです。

「お客様目線」が大事ということは、よく言われることですが、ではどうすれば、お客様目線を得られるのか、意外と語られないんですよね。

ここでは、その具体的な方法を考察したいと思います。

 

お客様目線=顧客視点=消費者視点

森岡さんは、「消費者視点」とか「顧客視点」と言っています。

ここでは、身近な言葉である「お客様目線」をベースにします。

 

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USJを変えたのは一つだけ

森岡さんの著書から、「お客様目線」の重要性を力説したフレーズをピックアップしてみます。

変えたのは1つだけ

『USJを劇的に変えた たった一つの考え方』には、こう書かれています。

よく聞かれるのです、「森岡さんはUSJの何を変えたのですか?」と。

視点によっては変えた項目は数百では済まないくらい列挙できます。(中略)しかし、究極的には、変えたのはこの1つだけと答えてもいいでしょう。

それは「消費者視点」という価値観と仕組みにUSJを変えたことです。USJが消費者視点の会社に変わったということが、V字回復の最大の原動力だと思います。

(『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』)

まさに、「お客様目線」がUSJをV字回復させた、たった一つの考え方だったのです。

マーケティングとは「組織革命」である

森岡さんが、マーケティングと組織改革をセットで考えることの重要性を説いた『マーケティングとは「組織革命」である』には、こうあります。

 マーケティングの真髄は「顧客視点(消費者視点)で考えること」だと、私はあらゆる機会で力説してきました。

(『マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド

「お客様目線」を獲得する3つの方法

では、どうすれば「お客様目線」を獲得することができるのでしょうか。

「利己的な遺伝子」というタイトルのベストセラーがあるくらい、人間の本質は遺伝子レベルで自己中心的です。

お客様目線になることは、実は至難の技なのです。

そこでシンプルな方法を3つ紹介します。

1、自分が消費者になってみる

まず一つ目は、自分が消費者になってみるということです。

森岡さんは、「ジェットコースターはなぜ後ろ向きで走ったのか」で、こう書いています。

私は信じているのですが、マーケティングをやる人間は、何でも自分自身でやってみることを習慣にするべきです。

前職でヘアカラーやスタイリング剤を売っていた時代は、私は自分のヘアスタイルを金髪のスパイキーや、真っ赤なソフトモヒカンにしていたこともありました。

(『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?

とてもシンプルですが、これが一番確実に、お客様目線になって、消費者視点を獲得することができます。

ゲームブランド・モンスターハンターのイベント化を考えた森岡氏は、ファンの心理を理解するためにモンスターハンターのゲームを、数ヶ月で400時間以上やりこんだといいます。

興味を持った素材はとことん理解するところから始めるのが、私の性分です。

プレイステーション・ポータブル(PSP)と、ソフト「モンスターハンターポータブル2nd G」をその週末に買い込んで、とりあえず自分自身でハンターライフを送ることにしました。

私は睡眠時間を削ってモンハンをひたすらやり込みました。プレイ時間はわずか数カ月で400時間を超え、ハンターランクをグイグイと上昇させていきました。

若い人たちが、このゲームをなぜそんなに好きなのかをもっと知りたい。

そしてこのブランドをイベント化するとしたら、どのような切り口でユニバーサルの技術を発揮すれば、ファンがパークに来場して泣くほど感動してくれるだろうか?

そんなことばかり考えて、ひたすらこのゲームをやり込んでいたのでした。

 

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自分で消費者になってみるという方法は、シンプルですが、消費者を理解する一番の近道に間違いありません。

昔、あるバラエティ番組でこんなエピソードを見たことがあります。

環境もよく、建物も綺麗なのに、なぜか宿泊客がなかなか増えずに悩んでいた旅館がありました。

そこで、番頭さんが自分が客になって1日泊まってみたそうです。

なかなか問題点が見つからず、その日はあきらめて布団に入って天井を眺めてハッと気がついたのです。

 

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蛍光灯の傘の中に、小さな虫の死骸が、黒い影となって溜まっていたのです。

すぐに、全室の電灯の傘を徹底して掃除したところ、徐々に客足が伸びていきました。

これなどは、まさにお客様目線で改善点に気づいた実例です。

2、消費者に聞く

次に、自分が消費者になることができない場合はどうするか。

消費者に聞いてみる、という方法があります。

これは、すでに世に出回っている商品のアピールポイントを的確に知りたい時、商品のサンプルが事前にできている時に有効です。

私は出版社なので、読者からのアンケートハガキはとても重要です。

 

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そこに書かれている感想によって、読者がなぜその本を買ったのか、本の何をアピールすべきかを知り、ポップの文言や、広告のキャッチフレーズにそのまま生かしています。

また、本のゲラやモニター版を読者に読んでもらい、アンケートを取り、その声を制作に反映させています。

それにより、タイトルや装丁、時には原稿内容までガラッと変わることがあります。

その効果は絶大です。

ポイントは、作り手(売り手)が、決して自分の頭で考えないということです。

3、お客様の行動を観察する

3つめは、お客様の行動を観察して、その心理を知るという方法があります。

「灯台下暗し」と言われるように、消費者は必ずしも自分の気持ちや好みを自覚しているとは限りませんし、また的確に表現できるとも限りません。

事前の市場調査やモニターアンケートが、発売後の実際の行動と食い違うことがあるのはそのためです。

あえて、お客様に聞くのではなく、行動を観察することによって、ニーズや心理を理解した方がいいことがあります。

無意識のニーズは、行動に現れるからです。

 

お客様目線で生まれたサービスの例

例えば、少し前から、東京メトロの切符売り場にこんな気遣いが登場しました。

 

 

そう、傘のすべり止めです。これ、本当にありがたいですよね。

すべり止めがないと、切符を買う時、傘を引っ掛けておいても、すベり落ちてしまった経験、誰にもあると思います。

ちょっとしたことですが、これも間違いなく、お客様目線がなかったら出てこないサービスです。

以前はなかったこのサービス、どのように誕生したのか。

これは想像ですが、東京メトロの職員が、プライベートで鉄道を利用した時に不便だなと感じたのかもしれません。

だとすれば、「自分が消費者になった」ということです。

あるいは、「気がつくことがあればお書きください」の投書箱に、投稿が届いたのだとすれば、「消費者に聞いた」ということです。

もしくは、職員が、雨の日のお客様の行動を観察して、「傘がすベって不便そうだな」と発見したのかもしれません。

それならば、「消費者の行動を観察した」ということです。

また、こんな工夫もお客様目線の賜物でしょう。

ドトールコーヒーの斜めの荷物だな

この数年、オープンしたドトール・コーヒーは、テーブルの下の荷物だなが、斜めになっている店舗が増えています。

 

 

ちょっとしたことですが、本当に素晴らしい気遣いだと思います。

カフェやファーストフード店のテーブル下の棚は幅が狭く、以前から、カバンを置いた時にすべり落ちそうで不安に思っていました。

パソコンやスマホなど、電子機器が入っていたら、なおさらですよね。

ところが、このように、棚板をちょっと斜めにしてもらうだけで、その心配がなくなり、本当に安心するんです。

 

 

これも、どのようにして、お客様目線を獲得したのかと考えると、おそらく、

社員の誰かが、プライベートでカフェを利用した時に不安を感じたか、店内のアンケートでお客様の声が届いたか、あるいは棚からカバンが落ちるのを気にしているお客様の様子を観察していたのかもしれません。

いずれにしろ3つの方法に共通しているのは、「消費者視点で考えよう」「お客様の満足を追求したい」という問題意識です。

その気持ちが何より一番大切といえるかもしれません。

以下は、消費者心理学を実践レベルで学べるおすすめ本の記事です。

よかったら読んでみてください。

【関連記事】消費者心理学が1冊で学べる「現代広告の心理技術101」

 

 

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