こんにちは、出版社営業部員のからんくです。
Amazonの総合ランキングで上位に来ていたこの本を読んでみました。
学校の「当たり前」をやめた。 ― 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革 ―
今、教育にとても関心を持っています。
この本は、帯のこの言葉に惹かれました。
宿題は必要ない。
クラス担任は廃止。
中間・期末テストも廃止。
都内の公立中学校で、この改革は、よほどの信念があってのことだろうと思いました。
裏の帯には、こうあります。
何も考えずに「当たり前」ばかりをやっている学校教育が、
自分の頭で考えずに、
何でも人のせいにする大人をつくる。
読んでみて、とても革新的だと思った反面、実に理にかなっていると感じました。
願わくは、この校長先生のマインドを、全国の学校に広められたらと思いました。
いくつか、心に残った言葉を紹介しましょう。
「目的と手段を取り違えない」
工藤校長の改革は、奇をてらっているわけではありません。
筋の通った理由があります。
例えば、中間期末テストの廃止。
これは、こういうことです。
私が定期考査をなくそうと考えたのは、宿題と同様、目的を達成するための手段として適切ではないと感じたからです。
定期考査前の一週間、日頃の遅れを取り戻すべく躍起になって勉強し、テストに出そうな部分を一夜漬けで頭に叩き込んだ記憶はありませんか。
一夜漬けの学習は、「テストの点数を取る」という目的においては有効ですが、学習成果を持続的に維持する上では効果的とは言えません。テストが終わったら、かなりの部分は忘れてしまうからです。
さらに言えば、一夜漬けで片づける「悪癖」がつくことの弊害も小さくないと思います。
目的と手段を取り違えて、意味のないことを当たり前のように続けていることが、会社にもあると思いました。
いじめ調査は人間関係に苦しむ子どもを救うためにある
もう一つ、工藤社長の胸のすく言葉を紹介しましょう。
これも目的と手段を明確にする工藤マインドの真骨頂が発揮されています。
いじめ調査は、何のためにするのか、ということです。
いじめ調査は、「いじめ件数を把握するため」ではありません。
工藤社長が教育委員会に籍を置いていた時、区議会議員から、
「いじめの調査結果によると、件数が増加している。この数字をどのように捉えているのか」と問いただされたことがありました。
その時の回答が実に痛快です。
私は決して多い数字だとは考えていません。これでも、まだ少ないのかもしれません。
そもそもいじめ調査は人間関係で苦しんでいる子どもたちを救うために行います。
子どもたちの間にトラブルが生じていることを教師や学校が知ることが重要であり、今、この瞬間にも、調査結果で示された件数の一つひとつの裏側に、いじめで苦しんでいる子どもたちがいます。
ほかにもまだ、いじめで苦しんでいる子どもがいるかもしれません。
そもそも、この調査結果の一つひとつがいじめなのかどうかを特定することは重要ではありません。
トラブルは子どもたち自身の力で解決するのが理想です。
しかし、中には子どもたちだけでは解決できず、大きく傷ついてしまうことがあります。
ですから、このトラブルが子ども同士で解決できるものなのかどうか、もしできなければ、どういった支援が必要なのかを吟味することが大切です。
新宿区教委はこの姿勢を貫き通していきたいと思います。
この発言を区議会は快く受けとめて、全面的に支持してくれたそうです。
とかく、実態に目隠しをし、うわべのいじめの数を減らすことに躍起になっている教育関係者への一大鉄槌ではないでしょうか。
それこそ、目的と手段がひっくりかえった本末転倒です。
痛快です。
このような工藤校長のマインドは一貫していて、学校だけでなく、会社組織にもそのまま通用すると思いました。
ぜひ、読んでみてください。