こんにちは、年間100本超えの映画好き、かんらくです。
遅ればせながら、2016年に話題になった「怒り」をdTV で観たので、その感想をつづります。
目次
とにかく、いい映画だった
とにかく、いい映画だと思いました。
が、私の好きなタイプではないので、観てよかった度は、
★★★☆☆ 星3つです。
タイプではないというのは
タイプでないというのは、私は、気持ちが明るくなれる、清々しい気持ちになれる映画が好きということです。
この映画は、深く重く、考えさせられる作品でした。
完成度の高い良作
映画としては、芸術性もあり完成度の高いかなりの良作だと思いました。
なので、ぴあの映画生活では、80点の高得点が付いていますね。
まずはストーリー
まずはどんな物語かというと、こちらのレビューがとても簡潔にまとまっているので引用します。
世田谷で夫婦殺人事件が起き、東京、千葉、沖縄(のそれぞれの地)で、素性の知れない青年と知り合った人々が、絆が深まっていくが故に、その青年が事件の犯人ではないかと疑っていく…という話。
犯人ではないかと疑われる素性の知れない青年というのが、綾野剛(東京)、松山ケンイチ(千葉)、森山未來(沖縄)の3人です。
この3人はお互いにまったく無関係です。
3人の物語が同時進行
この3人に関わる人たちの物語が、交わることなく、同時進行していきます。
この3人、一重で目つきが鋭いという共通点があるのですが、それが重要な意味を持ってきます。
なぜこういう形になったのか
なぜ原作の著者の吉田氏は、事件の犯人1人にしぼらず、3つの全く別の人物のストーリーを同時進行させたのか。
著者のインタビューを読むとわかりました。
モデルとなった事件がある
著者の吉田氏が語っているように、映画「怒り」には、モデルとなった事件があります。
あの、イギリス人英会話講師・リンゼイさんが殺害された、市橋達也事件です。
吉田氏の言葉
吉田氏は、NEWSポストセブンのインタビューにこのように語っています。
念頭にあったのはお察しの通り市橋達也の事件です。といっても僕は彼の2年半に及ぶ逃亡劇や事件そのものより、目撃情報の通報者に興味があった。街で似た男を見た程度ならともかく、身近な人間に対して疑念が生まれていく“事件の遠景”に胸騒ぎを覚えたんですね。
目撃情報の通報者たち
そうなんです。吉田氏は犯人よりも、目撃情報の通報者に興味を抱いたのです。
それらの人の心中を想像した時、今の今まで信じていた大事な人に突如、疑念がわき、葛藤する人たちの物語が、頭の中で動き出したのでしょう。
それがストーリーの骨格になったのです。
なぜ「怒り」をテーマにしたのか
なぜ、「怒り」をテーマにし、タイトルにも採用したのか。
著者が、通報者の気持ちにシンクロした時、湧いてきた感情、それが怒りだったのだと思います。
実際に映画を貫くのは
実際に映画を貫いていたのは、それぞの登場人物が抱く、やり場のない怒りという感情でした。
それは時に怪物となって、人々を懊悩させ、苦しませるのです。
怒りとは
信じていた相手に対する疑いが怒りに変わり、その感情をぶつけてしまう。
そして、その怒りが誤解だったと分かった時、猛烈な後悔が生まれます。
事実、2人は誤解
事実、3人の容疑者のうち、2人は誤解だったのです。
愛する人を疑ったけれど取り返しのついた人、疑いが取り返しのつかない後悔を生み出した人、それぞれです。
疑いは恐ろしい
疑いは恐ろしく、ちょうど透明な水に一滴のインクを垂らしたように、二度と元の透明には戻れないのです。
確かに言えることは、人は信じている人に裏切られたと思った時に、激しい怒りを抱く、ということです。
物語は、こうしてつむがれる
このようにして作家は着想を得て、物語を紡いでいくのかと思いました。
やはりゼロから生み出すことは少なく、事件や日常体験など、現実の何かをベースにして作品は生まれるのだと思います。
とても勉強になりました。
俳優の演技力がすごい
ほとんどのレビューで指摘されていることですが、俳優陣の演技力が際立っています。
渡辺謙、妻夫木聡、森山未來、広瀬すず・・・あげればきりがない感じですが、もっとも印象に残ったのは、宮崎あおいさんです。
際立つ宮崎あおいの演技
そうそうたる顔ぶれの中で、宮崎あおいさんの演技力が光って見えました。
演技力が際立つ役柄だったということもあると思います。
少し知的障がい気味の無垢な女性役なのですが、そうとしか見えませんでした。
森山未來の目
物語終盤の森山未來さんが少年を睨みつける目も必見です。
正直、狂気が宿っていて、背筋がゾッとしました。迫真ですね。
この映画は
この映画は、心に元気がない時には観ない方が無難かもしれません。
あまりにテーマが重く、鬱々とした空気に引き込まれてしまうかもしれないからです。
それだけ力のある作品といえますが、心身ともに余力がある時に見るべき映画だと思います。
素晴らしい映画
しかし、「人を信じるとは?」ということについて、深く考えさせられる素晴らしい映画でした。
今なら(H30.3.23時点)、動画配信サービスのdTVとNetflixで視聴できます。
dTVの体験記はこちら。
【初回31日間無料/dTV】月額500円(税抜)で映画・ドラマ・アニメ・音楽ライブなど12万作品が見放題!