出版社勤務のブロガーかんらく(@kan_raku44)です。
『ざんねんないきもの事典』という本が売れに売れているので読んでみました。
それがこちらです。書店で見かけた人も多いと思います。
自分が大の生き物好きであるという個人的な関心と、他社のベストセラーの研究という仕事の視点の両方から読んでみました。
続編(おもしろい! 進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典)が出ていることからも大ヒットしているのが分かります。
目次
出版社の目線で感想を
出版社の目線で、感想を書きたいと思います。
これは高橋書店さんの児童書ですが、もはや大人もはまっていて、社会現象になっていますね。
高橋書店さんといえば、「手帳の高橋」のイメージが強いですが、実は児童書でもヒットを多く飛ばしています。
たとえば、『こころのふしぎ なぜ?どうして? (楽しく学べるシリーズ)』も、根強い人気があります。
いい企画が多いのでしょう。
とにかく著者と編集者のセンスがすごい!
この『ざんねんないきもの事典』も企画がすばらしく、著者と編集者のセンスがすごい!と思いました。。
生き物の生態も、学術的で事典的な解説をすれば、なんの面白みもなくなります。
要は、それをどう捉えるか、というところが、編集者のセンスにかかっているのです。
はちみつは、実はミツバチのゲロ
たとえば、「はちみつは、実はみつばちのゲロ」
という章があります。これには度肝を抜かれました。
これも結局、表現の仕方なんだと思います。
万事、この調子で、著者なのか編集者なのか、1ページ1ページが、センスという輝きを放っています。
クリオネは実は流氷の悪魔
もう一つ、紹介。氷の妖精とか、流氷の天使といわれて愛されている貝の仲間「クリオネ」。
この愛くるしいビジュアルが、食事のときに、なんと頭が6つに割れるんだそうな。
6本の触手が出てきて、獲物をつかまえ、食べてしまうんです。
そう、まるで寄生獣のような姿に衝撃の変身を遂げます。その姿から流氷の悪魔とも。
こんなざんねんないきもののお話が、1ページに1つ、イラスト付きでわんさか載っていますので、ぜひ読んでみてください。
いきものに関するその他の面白本
おもしろい生き物のおもしろい生態を集めた、その他のおすすめ本を紹介します。
まずは、少しさかのぼって大ヒットした本を。
へんないきもの
2004年に発売され、一世を風靡した作品です。
個人的には、ドはまりした大好きな本です。第1弾も続編も買って、一気に読みました。
文庫版も出ていますが、ぜひイラストの迫力を味わうために、単行本をおすすめします。
残念ながら、もう書店にはなかなか置いていないと思います。
ふつう第2弾は、ネタが尽きてパワーダウンすることが多いのですが、以下の続編は、まったく遜色ありません。
(残念ながら、Amazonでも、単行本は見つけられませんでした)
ほんとにこんなのいるの!?と、にわかに信じがたいような生物ばかり出てきます。
せつない動物図鑑
『ざんねんないきもの事典』と並んで、今、売れに売れている本です。
ダイヤモンド社さんの翻訳本です。
好みの問題で、甲乙つけがたい印象です。
私が、特に印象に残ったのは、プラナリア。
プラナリアはふたつに切られても死なないどころか、記憶を持ったまま、二匹になるんだそうです。
プラナリアは切断すると、二匹に増えることは知っていましたが、記憶も引き継ぐというのが驚きでした。
しかも、仲間のプラナリアを食べてしまった時も、記憶は引き継がれるそうです。アメージングですね。
しくじり動物大集合
出版元の永岡書店さんの営業に、池袋の書店で会った時に、「売れてますね」と言ったら、「おかげさまで、売れてるんですよ」と言われました。
うらやましい限りです。
出版業界では、後追いで出版しても、オリジナルを抜いてしまうことさえ、あるので、売れている本の企画を追いかけるというのは、戦略的に大いにありなのです。
このジャンルは、1冊読めば網羅されるというものではないので、好きな人は、順番に全部読んでみたらいいと思いますよ。
追加:わけあって絶滅しました
ダイヤモンド社さんが、出版した新刊ですが、「やられた〜」と思いましたね。
生き物本も飽和状態かなと思っていましたが、まったく新しい切り口で、切り込んできました。
タイトルが絶妙です。
中は、絶滅した生き物ですから、もちろん写真ではなく、イラストです。
目のつけどころが、素晴らしいです。
これまでの類書とは一線を画しており、おすすめです。