こんにちは、かんらくです。
消費者心理学を丸ごと1冊で学べる本の紹介です(記事の後半で紹介しています)。
私は出版社に勤務していますので、新刊の新聞広告のキャッチコピーをどうすればいいかは、商品の売れ行きを決める最重要課題です。
目次
効果的な広告の作り方、実はシンプル
効果的な広告の作り方は、出版社に限らず、小売業に携わる人なら共通かつ最大関心事だと思います。
実は、爆発的な効果を生み出す広告を作る法則はハッキリしています。そしてとてもシンプルなんです。
消費者インサイトを衝けば、人は自ずと動き出す
それは、「消費者インサイトを衝く」ということです。
消費者インサイトとは、本人も気づいていないような、その商品を買う根源的な理由のことです。
見えない力に
消費者インサイトを衝けば、人は見えない力にあらがう術もなく、おのずとその商品を購入せずにおれなくなるものです。
もったいぶって書きましたが、要は衝動買いのことです。
USJを劇的に変えた たった1つの考え方
USJの業績をV字回復させた敏腕マーケターの森岡毅さんの言葉を借りましょう。
総合的で深い消費者理解のみから生み出されるマーケターの強力な武器があります。
それを「消費者インサイト」と言います。
消費者自身が気づいていない(あるいは直視したくない)隠された真実のことです。
ここをマーケターが衝くと、消費者の心を大きく動かすことができるのです。
(『USJを劇的に変えた たった1つの考え方』)
消費者インサイトは、隠れた欲求のことなので、消費者ニーズとはちょっと違います。
ニーズは本人も自覚
消費者ニーズは、本人も自覚している欲求です。
多くの場合、ニーズに合えば、一定の広告効果は得られるのですが、インサイトにヒットすると、けた違いの成果を生み出すのです。
消費者インサイトにヒットしたコピーの実例
森岡氏は消費者インサイトにヒットした実例として、「除菌ができるアリエール」を紹介しています。
P&Gは、洗濯用洗剤「アリエール」の除菌ができる新バージョンを発売したのですが、当初、さっぱり売れませんでした。
衣服に菌がいるという認識
当時は衣服に菌がいるという認識はほとんどなかったので、洗剤が除菌をするメリットが消費者にはピンとこなかったのです。
そこで、「部屋干しの衣類からニオイがするのは衣服にたくさん菌がいるからです」と、広告でアピール。
部屋干しすると臭う
「衣服を部屋干しするとなぜか臭うな」という消費者のインサイトを衝いたのです。
すると「除菌ができるアリエール」は、またたく間に売上を伸ばしました。
消費者インサイトを衝く 近道はあるのか?
では、どうすれば、消費者インサイトを衝くことができるのでしょうか?
消費者の深い心理を理解するのは、簡単ではありません。日頃から「相手の立場に立って考える」訓練も必要でしょう。
広告の極意
広告の極意といわれますから一朝一夕にはいきません。
事前のモニター調査をできないことのほうが多いでしょうし、消費者の声を集めるにも発売直後は難しいですね。
回り道をしない方法
しかし、法則を知って消費者インサイトにより早く到達する方法はあります。
消費者の基本的な心理、行動のパターンを知ることで、直線的に消費者の深い心理にたどり着くことが可能になることがあります。
消費心理学の集大成 おすすめはこれ!『現代広告の心理技術101』
消費者の心を動かす具体的な考え方と方法が1冊に凝縮されているのが、ドルー・エリック・ホイットマンの、現代広告の心理技術101です。
著者のホイットマンとは、何者でしょうか。
出版元のサイトには、このように紹介されています。
ホイットマンは11歳のころからカタログ広告を作って注文を取っていた広告の申し子です。
彼は数多くの大企業で活躍していたときに受けていた熟練の心理学者チームからの行動心理学のコンサルティングと、それをもとに得た膨大な数の広告とその実測データを持っています。
そしてそんなホイットマンだからこそこの本の中で広告の効果を最大限にするための「相手の頭の中に入る消費者心理の17原則」や「買わずにいられなくする41のテクニック」などの消費者心理を明らかにすることができるのです。
CHAPTER2の「相手の頭の中に入る方法 消費者心理の17の原則」は特に必読で、広告作成の虎の巻だと思っています。
原則5「手段・目的連鎖〜決定的に重要な核心部」には、このように書かれています。
あなたの買い手にとって、自分の買う製品やサービスは目的達成のための手段にすぎないのだ。
よく言われることですが、消費者はドリルを買うのではなく、穴を買うのだ、ということです。
消費者は何を求めて、その商品、サービスを買うのか。その目的を知ることが消費者理解です。
そこにヒットさせない限り、売れる広告やコピーを作ることは決してできません。
その理解が無意識下まで、さぐり当てられればインサイトにたどりつきます。
例えば、高級車の購入を考えているお客様にとって、車は手段です。
それが早く安全に移動するためなのか、高級車に乗っているというステータスのためなのか。それを知ることが消費者理解なのです。
ホイットマンはそのことを、このように書いています。
忘れないでほしい。ほとんどの場合、人が欲しているのは商品そのものではない。人はその商品から得られる最終的なメリットを買っているのである。
この原則をよく理解した上で、共通した消費者心理やそれをコントロールする方法について、次の「買わずにいられなくする41のテクニック」で、具体的に解説されています。
この本は初心者が入門書として勉強するよりも、実際に広告やキャッチコピーをつくったあとで、それを41のテクニックに照らし合わせながらブラッシュアップするのがいいと思います。
まさに実践編と言えるでしょう。
マニュアル、辞書のような使い方ですね。
最大の魅力
この本の魅力はなんといっても、消費者心理学に基づいた実験の積み重ねによって、消費者の深層心理と行動パターンを解明している点です。
つまり主観でもなければ、机上の学問でもない、ということです。
この1冊で消費者インサイトにたどりつく基礎力が備わるのですから、その投資の価値はまさにプライスレスです。
入手方法は直販のみ
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【おまけ】広告、Web、マスコミの業界に転職を考えている人へ
この記事を読まれた人の中には、すでに出版、広告、マスコミ業界で働いている人もあれば、これから働きたいと思っている人もあるでしょう。
この仕事は、結果でしか評価されない厳しい面もありますが、創造的でやりがいがあるのは間違いありません。
ワクワクする仕事
私は出版社に勤務していますが、世の中へ、メッセージを発信するのは本当にワクワクする仕事です。
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