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こんにちは、かんらくです。

出版社15年勤務の現営業部員が、損得抜きで、心から勧めたい本だけを、あえて他社本に限って集めてみました。

 

通勤時間が楽しみに変わる熱中必至の小説

通勤時間や駅のホームで電車を待ってる時間って、やることがないと苦痛ですよね。

でも、面白い小説があると、待ち時間が少しも退屈ではなくなります。

「もう駅に着いちゃった」

それどころか、「ああ、もう駅に着いちゃった」「もっと遠かったらよかったのに」という感情さえわいてきます。

そんな退屈な時間を宝石のような楽しみに変える、珠玉の作品をピックアップしてみました。

(1)横山秀夫『第三の時効』

2004年の「このミステリーがすごい!」第4位に選ばれた名作です。

F県警の3人の班長を中心にした連作警察小説です。

全6編

全6編が収録されていますが、それぞれのストーリーは1話ごとに完結しています。

間を空けて2回読んだのですが、トリックを見破れず、2回とも、まんまとだまされてしまいました。

ストーリーは緻密

それだけ、ストーリーは緻密に練られているんです。(単に忘れっぽいだけかもしれませんが)

横山さんは地方紙の記者から作家に転身されたからか、一文一文が短く、シャープで読みやすいから大好きです。

読者を置き去りにしない

横山作品の特徴は、警察の世界の専門用語を駆使し、その世界観をリアルに発揮しながら、読者を置いていかないところだと思います。

ふつうは専門性の高い業界をセッティングすると、専門用語に読者がついていけず、置き去りにされるのが常です。

どれも絶品

どれも絶品のストーリーですが、標題にもなっている「第三の時効」が、いちばんのお気に入りです。

そのほか、横山さんの小説は、どれもおもしろいです。つまりはずれがありません。

『第三の時効』以外では

『第三の時効』以外では、日航ジャンボ機墜落事故を扱った『クライマーズ・ハイ (文春文庫)』が、特におすすめです。

事故を取材する地方紙の制作の現場が、息をのむ緊張感とスピード感をもって、リアルに描かれています。

 

(2)山崎豊子『沈まぬ太陽』

山崎豊子さんも毎日新聞の記者から作家になった経歴の持ち主なので、とにかく取材が徹底しているんです。

あくまでフィクションと謳ってはいますが、多くは実際の事件や事実を元に小説化されています。

航空会社の立場から

『沈まぬ太陽』は、日航ジャンボ機墜落事故を、渦中の航空会社の立場から描かれています。

なので、横山さんの『クライマーズハイ』と合わせて読むと、報道側新聞社と、取材される事故の当事者側の両方の視点から分かるので、あの日航機墜落事故の全貌が理解できるんです。

 

山崎豊子作品もどれも期待を裏切らないのですが、『白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)』『不毛地帯 (1) (新潮文庫)』は、全編おすすめです。

 

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ライターを目指すなら必読ですよ【聞く力、書く力】

ものを書くことを生業としていれば、取材のために、人の話を聞く力、技術が重要になるのは、言うまでもないですね。

でも、それ以外でも、職場でも家庭でも、人間関係をよくするために、人の話を聞くことって大事ですよね。

聞くのがうまい人

人の話を聞くのがうまい人は、一緒にいて居心地がいいですし、愛され、慕われているような気がします。

営業でも立て板に水を流すように話をするのがうまい人より、人の話を聞くのが上手な人のほうが、結果的に成果を出しているように思います。

聞くこと、書くことに焦点を当てた、名著をピックアップします。

(1)野村進『調べる技術・書く技術』

ノン・フィクションライターの野村進氏の取材ノウハウが、ギュッと詰まっています。

テーマの選び方、資料収集法、取材の実際から原稿完成まで、心構えと実務が、惜しげもなく、明かされています。

心に残ったのは

中でも、私がいちばん心に残ったのは、この文章でした。

 かくしてインタビューは終了した。あなたは取材ノートを閉じ、録音機器の停止ボタンを押す。
ところが、本当の取材はここから始まるのだ。
約束したインタビューの時間を終え、先方は心の中で安堵のため息をつくか、余計なことをしゃべりすぎたと臍をかんでいるか、いずれにせよ緊張がいくらかはゆるんでいる。そのときなのである、インタビュー中には語られなかった本音が洩れるのは。
それを聞き逃してはならない。さりげなく(あくまでもさりげなく)話を深めていく。私の経緯では、取材ノートを閉じてから会話がさらに一時間以上も続くようなら、その取材は間違いなく成功裏に終わる。

そうなんですよね。私も取材経験がありますが、録音機が回っている間は、相手も緊張して、なかなか本音を引き出せないんです。

これで取材を終わります

「これで取材を終わります」と言ったとたん、相手は、一気に肩の力が抜けて、聞きたかったこと、言ってほしかったコメントが、次々と流れるように出てくるんです。

そのことを知って取材するのと、知らないで取材するのでは、天地の違いがあると思います。

本当の取材

本当の取材は、ICレコーダーのスイッチを止めてから始まるのです。

その他に、特に心に残ったのは次の引用でした。

自分に関心のある分野でひとかどの人間になりたかったら、一月に二、三冊でいいからその関連の本を読むことだ。それを三年続けたら、その分野ではオーソリティになれる(元木昌彦『週刊誌編集長』)

こういう地道な努力を愚直に継続できるかが、未来を分けると、痛感する昨今です。

 

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