こんにちは、出版社勤務のかんらくです。
「気がきく人、気がきかない人」というテーマは、ビジネス書でもよく取り上げられます。定期的に微妙にタイトルを変えながら、いろいろな出版社が新刊を出している気がします。
それだけ、どのシーンでも大事なことであり、しかも英会話やダイエットのように、なかなか身につかないことなのでしょう。
たしかに、ふだんの生活の中で、「この人は気がきくなあ」「気づかいのできる人だなあ」という人に出会うと、気分がいいものです。
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ショッピングモールの守衛さんの気づかいでも三者三様で、違いがある
書店営業をしていると、毎日のようにショッピングモールの中にある書店を訪問します。
その場合、一般のお客さんと区別するために、従業員通用口から入館します。
そうすると必ず受付で、社名や訪問先、入館時刻、退館時刻などを用紙に記入するんです。
書いている間、こちらをボーッと眺めている守衛さんもあれば、時刻を記入する段にさしかかると、備え付けの時計を指し示してくれる人もあります。
さらには、時刻を読み上げてくれる人もあるんです。最近のデジタル時計は、温度や年月日なども表示されていて、すぐに時刻を認識できない時があります。
なので、時刻を読み上げてもらえると、顔をあげなくてもいいので、「助かるなぁ」と感じます。
ちょっとしたことですが、こんなことでも気づかいのできる人と、そうでない人と、差が出てくるんです。
気づかいができる人の方程式。気がきく人=相手目線に立てる人
気づかいができるかどうかは、相手の立場、相手の目線に立つ習慣があるかどうかではないかと思います。
つまり、気がきく人(気づかいのできる人)=相手目線に立てる人
という方程式が成り立つ、ということです。
基本的に人間は、自分中心に考える生き物ですから、これは意識して心がけないとなかなかできないことです。
でも、「相手の立場に立って考えろ」というのは、ビジネスでも、どこでも言われることですよね。
マフィアのボスでも相手の立場に立っている
マフィア映画の金字塔「ゴッドファーザー」でも、アメリカマフィアのカリスマ的存在、ドン・コルレオーネが、跡取りの三男マイケルに、ライバルとの抗争が激化する中、「相手の立場に立って考えろ。そうすれば、かなりのものが見えてくる」と教えています。
マイケルはその教えを金科玉条にしていました。自己中心的なイメージが強い、マフィアのドンでさえも、「相手の立場に立って考える」を信条にしているんですね。
(ちなみに、「ゴッドファーザー」は、本当にいい映画なので、まだの方はぜひ一度、ご覧になることをおすすめします)
この作品は、映画見放題の動画配信サービス「dTV」でも視聴できます。
関心のある方は、こちらの記事をご参照ください。
自分目線で作った商品は売れない
商品開発において、売れる商品を作るためには、「相手(消費者)の目線に立つ」は最重要課題ではないかと思います。
新刊企画でも、作り手(編集者)の目線に立って作った本はまず売れません。徹底して読者目線に立って作った本は、おもしろいように売れるものです。
たまに、編集者や著者の作りたいように作って、ヒットすることもあります。が、それは、たまたま作り手(書き手)と読者の目線が一致していた時だと思います。
そんなケースはレアで、滅多にありません。そこで、「相手の立場に立って考える」ということが、やはり大事になってくるんですね。
短命に終わる大臣と、長く続く大臣は使う言葉が違う
相手の目線に立つということについて、朝日新聞の「天声人語」(29.6.30)に、こんなことが書いてありました。抜粋して紹介します。
問題発言や失言で不祥事で短命に終わる閣僚がいる。長く務める閣僚との違いは何か。言葉遣いに着目した研究がある。
長期大臣に目立つ単語に「御存じ」があり、主に「御存じのとおり」と使われる。「是非ご理解いただきたい」などに用いる「是非」も多く、相手を取り込もうとする姿勢が見える。
一方の短命大臣は「頑張る」「一生懸命」など自分の努力を一方的にアピールする発言が目立つ。自己中心的で聞き手への配慮に欠ける面が、うかがえるという
おもしろい分析ですし、なるほど当たっているなと思いました。
私の周りでも、自分の努力を一方的にアピールし、周囲への配慮が足りないなと感じる人がいます。特徴として、いつでも「私が~」「ぼくが~」と自分を主語にして話をする傾向が強いように思います。
周りから、好かれ信頼される人は、相手目線で考え、発言をしている人なのだと思います。
気がきく人になるための、たったひとつの習慣
結論。気づかいのできる人に共通したたった一つの習慣は、「相手の立場(目線)に立って考える」ということですが、では、相手の立場に立つ習慣を身につけるには、どうすればいいか。
まずは、話をする時や、ものごとを考える時に、できるだけ主語を自分にしない、ということだと思います。
主語を自分にしない。そうすれば自然と相手目線の言葉になる
主語を自分以外に置き換えることで、仕事の環境が劇的に改善できた、という経験があります。
編集の仕事をしていた時のことです。ある月刊誌をまかされていたことがありました。
初めはスタッフが3人いたのですが、新しい仕事が入って異動になる人あり、転職する人ありで、結果、スタッフが私一人になってしまいました。
どこも人手不足なので、しばらくは一人でなんとかやりくりしていましたが、数ヶ月経って、さすがに手が足りず、このままでは月刊誌に穴を空けてしまいかねないという危機感を覚え、増員を願い出ようと思いました。
私の気持ちとしては、正直に言えば「私がこんなに一人で苦戦してるのに、なんで増員してくれないのか。とても手が足りないから、毎日、残業残業じゃないか。私のために、なんとかしてくれ」というのが本音でした。
でも、そのまま言えば通る話も通らなくなるなと思い、「私が大変だから~」という本音から、主語の私をはずして、「○○部長に迷惑がかかってしまうから~」と上司目線におきかえました。
「全力は尽くしますが、今のままだと、原稿が落ち、発売に間に合わなくなりそうです。そうすると、○○部長にご迷惑がかかってしまい、○○さん(印刷業者)にも、申し訳ないことになってしまいます・・・」
こう、相談したのです。すると、その日のうちに2人増強され、私はそのほかに兼任していた仕事も免除されました。
もし、そのまま自分を主語にして、自分の思いをぶつけていたら、「もっとがんばれるだろう、努力と工夫が足りないだけだ」と突っぱねられていたと思います。
相手を主語にして、相手の目線で考え、話をする大切さを実感した体験でした。
「相手の目線に立つ」をテーマにした、こちらの記事も、よかったらお読みください。
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